※托鉢する尼僧 ©️2001 Doron
尼僧になってからも10年間、恋をしていました。愚かな片思いでした。
今となっては、幼い頃の淡い思い出のように感じています。
※上座部仏教:近年までは小乗仏教と呼ばれていた。東南アジアを中心とし、個人での悟りを目標とする。
2026年5月投稿
-
頭髪は剃っていますか?
-
剃ろうと思っているのですが、ウェーサク祭で疲れ果ててます。今は髪が長すぎ(約2cm)ですね。
疲れている時に剃ると、怪我をするのが怖いんです。
※ウェーサク祭:年に一度、5月頃に行われる釈迦の誕生を主に祝うお祭り。
-
恋愛への執着をどのように克服しましたか?特に効果的だった方法はありますか?
-
あのバカな片思いのせいで死ぬんじゃないかと、本当に怖かったです。
でも、10年も経つと、彼の悪い面も見えてきたんです。それで、彼を人間として見るようになったのでしょう。
一番効果があったのは、読経です。難しいけれど、一度本当に心に染み込むと、悪い感情が消えます。
-
瞑想はあなたにとってどのようなものですか?
-
瞑想は楽園、もしくは五つ星ホテルのよう。まさに喜びそのものです。
個人的には、それだけでも尼僧になった価値は十分ありました。たとえ瞑想で死ぬことになっても、私は続けるでしょう。
-
仏教は宗教ですか?哲学ですか?
-
ブッダは、苦しみから抜け出す道を悟った存在です。彼はその教えを人々に説いて広めました。
仏教は、善行、来世、最終的な解脱といったテーマを扱っていることから、宗教だと思います。
-
私は慢性疾患を抱えています。
仏教には、慢性疾患を受け入れ、対処するための特別な教えがあるのでしょうか?
-
慢性疾患を抱える多くの人は、能力喪失に伴う喪失感を覚えます。それは、アイデンティティや世界観に大きな影響を与えますよね。
仏教の「手放す」教えは役立つかもしれません。喪失は悲劇ではなく、むしろ正常なことだと考えられます。
また、瞑想も心を落ち着かせるのにも役立ちます。
上座部仏教には、病弱な僧侶に向けた経典もいくつかあるぐらいです。
-
ご家族はあなたが尼僧になることについてどう思っていますか?
-
家族は最初は喜んでいませんでしたが了承してくれました。出家には両親の許可が必要なんです。
出家後も何度か家族とは会っていますよ。
-
尼僧になった理由は?
-
昔から神や祈りといった概念には、親近感がありました。そして、仏教が提示する心理学的説明に、とても感銘を受けたのです。
例えば、自分の欠点(煩悩など)は、まるで大きな石を抱えているような感覚です。体が重くなり、物事を直感的に理解できなくなります。それを無視して日常生活を送るのは難しいでしょう。
尼僧になり、自分を浄化することが一番手っ取り早い方法のように思えたんです。
-
普段のスケジュールは?
-
普段は朝晩それぞれ2時間ずつ瞑想と読経、日中は3時間勉強、さらに3時間が奉仕活動です。
奉仕活動の時間が増えることもあります。
-
尼僧になるために新しい言語を学びましたか?
-
パーリ語です。上座部仏教徒はそれで読経しますから。
-
仏教には、罪を悔い改め、許しを得るという概念はありますか?
-
ありません。
行為の善悪は、それが神を怒らせるかどうかではなく、それがもたらす影響によって決まるからです。
また、罪悪感はそれほど重要な要素ではありません。健全な恥の意識を持つことは大切ですが、自分が犯した悪いことにいつまでも囚われてはいけないからです。
行動を変えるだけで十分です。
私たちは「悟る」までは悪行の根源から解放されてません。仏教の知恵をもってその根源を根絶するために努力するのです。
-
仏教徒の目標は涅槃(ニルヴァーナ)でしょうか?
また、自分の善行が悪行を上回ったかどうか、つまり涅槃に到達したかどうかをどのように知るのでしょうか?
-
はい、目標は涅槃に到達することです。
ただ、涅槃とは、十分な善行を積むことではありません。
涅槃とは、貪欲、憎悪、妄想といった煩悩の終焉です。これは、内省すれば自分で分かるはずです。
-
尼僧になるまでは大変ですか?
-
まずは見習い修行です。寺院によっては見習い修行者に雑用や維持管理を徹底的にやらせます。
-
どんな食事ですか?
-
私は、施しの鉢に入れられたものを食べるだけです。
通常は米や野菜で、たまに豚肉や魚なども出ます。日によって完全にランダムですね。
私が苦手なのは、内臓を使ったカンボジア料理やタイ料理です。食べるのが物理的に大変なので。
でも、寄付者の方々からいただいたものなので、すべてに感謝しなければなりません。
パン屋さんから、石のように固くなった古いパンをいただいたこともありました。
-
肉を食べてもいいなんて知らなかった。
-
東アジアの大乗仏教を除いて、仏教徒は肉を食べます。
僧侶は「三種の浄肉」を食べることができます。でも、10種類の動物の肉は食べません。どれだったかは覚えてませんが、蛇のような変わった動物ですよ。
※三種の浄肉は
- 自分のために動物を殺さない
- 殺される様子を見ない
- 殺される様子を聞かない
の条件をクリアした肉。仏教徒は殺生が戒律で禁じられているが、施しを受けた食べ物を選り好みをしてはいけないという考え。
※十種肉禁(人間、アジアゾウ、馬、犬、ヘビ、インドライオン、ベンガルトラ、ヒョウ、クマ、シマハイエナ)
-
生活のルールは?
-
規則は311項目とかなり詳細です。
基本的な考え方は、私たちは精神修養に専念する托鉢僧であるため、食料や財産を蓄える生活様式や活動をしないということです。有給の労働もダメです。
また、独身であることに加え、宝飾品や香水、高級家具やコンサート等、過度な娯楽は慎み、お金も使いません。
-
仏教宗派の中で、なぜ上座部仏教を選んだのですか?
-
大乗仏教と金剛乗仏教の経典は偽物、つまり仏陀の著作ではなく、後世に書かれたものだからです。
これらの経典にはアップデートされた考えも含まれ、仏陀が実際に説いたことと真っ向から矛盾するものもあります。
世界のほとんどの宗教では、経典は始祖の教えです。後から経典が色々出来たのは仏教ぐらいですよ。
-
他の宗教についての見解は?
-
私は心理学的な観点から他の宗教を幅広く研究してきました。
仏教の心理学は「正見」という概念に基づいています。他の宗教は「正見」とはいえないので、救済への道とは思えません。
また、「無常」を説くのも仏教だけです。
※正見:物事に自己中心や、偏った見方をしないこと。
-
他の宗教の友人はいますか?
-
上座部仏教の尼僧以外の友人はいません。仕事上では、他宗教とも交流を持っていますよ。
-
ネガティブな感情にどう対処するんですか?
-
まず自分の感情を認めることです。
それを無理に押しのけたり、無視したら、何も学べません。
-
仏教とキリスト教、両方を信仰することは可能でしょうか?
-
前からよく聞く質問です。
仏教は強制的でも排他的でもありません。仏教の有益だと思う部分を取り入れればいいと思います。
仏陀は、他の宗教から信者を獲得しようせず、どんな宗教でも、苦しむことがないようにと願っただけでした。
でも、正式に仏教徒になりたいのであれば、帰依と戒律を受ける必要があります。仏法に帰依するためには、他の宗教との違いを理解し、仏教的な世界観を築かなければいけません。
-
尼僧同士の同性愛は存在するの?
-
私の寺院にはレズビアンは一人もいませんでしたよ(笑)。それは完全に規則違反ですし、ある意味家族のような存在である寄付者の方々にもとても失礼ですから。
ただ、世俗に戻った後、レズビアンになった尼僧は知っていますが、相手は一般人です。
-
1日に何回食事をしますか? お茶をしたりは?
-
私は1回ですが、午前と午後に分ければ2回でも構いません。
食事をするのに最適な時間は正午です。
お茶はしますよ。ただ、今はお茶を切らしてしまって。代わりに砂糖水かブラックコーヒーで我慢しています。
-
趣味は何ですか?
-
僧衣を縫っています。趣味ではなく「生活」ですね。でも、裁縫は気分転換になります。
-
寺院にペットはいますか?
-
いいえ。
僧侶がペットを「飼う」ことはたまにありますが、捨てられた犬や猫です。
-
禅についてどう思いますか?
-
禅宗について特に意見は無いですね。
禅宗も大乗仏教の一派だからです。
※元の投稿https://www.reddit.com/r/AMA/comments/1tozyny/i_am_a_buddhist_nun_ama/


コメント